私の友人のだんなは実によく食べる。仕事柄しっかり食べないともたないのだろう。屋外での仕事のため、お昼はだいだいお弁当を持っていくらしいのだが夏の炎天下、駐車してある車内に置いたお弁当には気を付けなければなるまい。

 去年の夏ごろの出来事である。日中の気温は30度を越え、強い日差しが車内のお弁当に容赦無く照りつけた。するとどうなるか。考えていただきたい。仕事が終わり、帰ってきた彼はすっかり空になったお弁当の容器を友人に差し出し、こう言ったのだ。

「弁当のふた開けたら納豆が入ってたよ。糸ひいてたから。ちょっと味がおかしかったけど食べちゃったよ。」
友人「………」

信じられない事に、空腹に負けた彼は炎天下で悪くなってしまったお弁当を残らず食べてしまったのである。もちろん納豆など入れるはずもない。しばらくして、さらに恐ろしい出来事が起きることになる。

友人がパンを食べようと食卓をみると、珍しく黒パンがおいてあった。「黒パン?」少しおかしいと思った友人がよく見ると、それは見たこともない巨大の黒カビがパンにぎっしりへばりつき、この世のものとは思えない姿に変わっていたのだ。

「ぎゃー!!!!」

それも6枚切りのパンがどう見ても減っているのだ。まさか…・・
事態はそのまさかであった。
「あのパン?食べたよ」満足そうに彼は言ったというのだ。どうしてあの巨大な黒カビに気づかないのか?彼は大物なのかもしれない。

その後、友人のだんなの体はどうなってしまったか。お腹も壊さず、元気に暮らしている。おそるべし対菌体質。

その日から違った意味で彼を尊敬するようになったのである。